「頭金も用意したのに、事前審査で落ちた…」──原因は年収の絶対額だけではありません。返済負担率、信用情報、勤続・雇用、物件評価、申告の整合性など、複数の観点で評価されます。本記事では、落ちやすい代表理由とすぐ効く対策をわかりやすく解説。最後にそのまま使えるチェックリストと再申込の手順をまとめました。
要点(ここだけ押さえればOK)
- 事前審査は属性(人)×担保(物件)×資金計画の総合判定。どれか一つでも弱いと不承認になりやすい。
- 返済負担率(年返済額/年収)が重い・他社借入が多い・信用情報に遅延履歴があると落ちやすい。
- 入力ミスや整合性欠如(年収、勤続、借入額の申告ズレ)は即NGの典型。
- 物件の担保評価が出ない(築古・再建築不可・路地状敷地 等)と、属性が良くても不承認になり得る。
- 対策は「返済比率を下げる・情報を正す・物件/金融機関を見直す」。無理な粉飾は厳禁、改善して再申請が王道。
1. 事前審査の全体像(仕組み)
- 人の審査:年収、勤続年数、雇用形態(正社員/契約/自営)、家族構成、他社借入、信用情報(CIC/JICC)など。
- 物件の審査:担保評価(路線価/収益性/流通性)、建物の法適合、耐震、再建築可否、専有面積要件など。
- 資金計画の審査:頭金・諸費用の現金余力、返済比率、自己資金証憑の整合性、金消契約までの資金動線。
2. 落ちやすい理由と即効対策(12項目)
① 返済負担率(DTI)がオーバー
年返済額 ÷ 年収 が基準超過。目安は民間で25%〜35%、フラット系で30%〜35%程度が多い。
対策:借入額を下げる/返済期間を延長(ただし総利息増)/固定資産税等を加味し月返済の上限を再設定。
② 他社借入・クレカ枠が多い/キャッシング利用
リボ・カードローン・自動車ローン・教育ローン・通信端末割賦も債務としてカウント。
対策:小口債務の完済・解約、使っていないクレカのショッピング枠縮小でDTI改善。
③ 信用情報に遅延・異動(延滞・債務整理)
61日以上や3か月以上の延滞、代位弁済、任意整理等は強いマイナス。
対策:CIC/JICCの情報開示→誤りは訂正請求。短期の遅延は6か月〜12か月のクリーン運用を積んでから再申請。
④ 勤続年数が短い/雇用が不安定
勤続1年未満は厳しめ。自営・フリーは2期〜3期連続の黒字や安定売上が求められやすい。
対策:転職理由・同業経験・年収見込みの説明資料(内定通知/雇用条件通知)を整備。配偶者合算も検討。
⑤ 申告情報の不一致・入力ミス
年収手取/総額の取り違い、ボーナス見込みの過大、借入申告漏れは即NG。
対策:源泉徴収票/課税証明/残高証明を手元で突合し、数値の一致を確認。
⑥ 物件の担保評価が不足
再建築不可、接道不良、築古の木造、違反建築の疑い、極端な狭小/過疎地は評価が伸びにくい。
対策:物件先行の一発勝負を避ける。同物件でダメでも金融機関を替える・別物件に切り替える。
⑦ 諸費用・預貯金の余力不足
「物件価格=借入」「諸費用はカード立替」のようなギリギリ計画は減点。
対策:諸費用+α(6か月分生活費)の預金残高を示す。贈与は入金時期と出所を明確に。
⑧ 団信(団体信用生命保険)加入不可/健康不安
告知内容次第で不可または金利上乗せ。
対策:ワイド団信や告知条件の緩い商品へ切替、または健康情報の補足書類(医師診断書等)を準備。
⑨ 年齢・完済時年齢が基準超過
完済時年齢80歳上限など。
対策:期間短縮/繰上返済計画を提示、または配偶者を主債務者に。
⑩ 収益見込み(家賃等)を前提にした無理な返済計画
将来の賃貸収入や副業前提は保守的に見られる。
対策:本業年収ベースで返済可能額を算定。収益は安全余力として扱う。
⑪ 申込の同時多発(短期に多数)
短期に連続照会はスコア低下の要因。
対策:候補を2行〜3行に絞って段階的に申込。見学段階の乱発は避ける。
⑫ 自営業の所得計上・必要経費の大きさ
所得控除で課税所得が低すぎると返済能力が出ない。
対策:直近2期〜3期のPL/BSを整備。加算対象収入(役員報酬、家賃収入の通帳実績)を明示。
3. 数字で把握:返済負担率の簡易計算
計算式:返済負担率 = 年間返済額(他社借入+他社ローン) ÷ 年収
例:年収600万円、他社返済月2万円、住宅ローン見込み月11万円 → 年返済額(2+11)×12=156万円 → 156/600=26%
→ 25%台はグレー。頭金+50〜100万円・期間延長・他社完済で改善。
4. 事前審査の提出物:整合性を最優先
- 本人確認(運転免許、マイナンバー等)
- 年収証憑(源泉徴収票2年分、課税証明、自営は確定申告書・決算書2〜3期)
- 勤務・事業証憑(在籍証明/雇用契約、開業届/納税証明)
- 他社借入の残高・返済予定表(リボ・車・教育・カードローン)
- 物件資料(販売図面、重要事項説明の抜粋、登記簿、公図、資金計画書)
- 自己資金の出所(通帳写し、贈与は贈与契約書・振込控え)
5. 金融機関の選び方(通りやすさは違う)
- ネット銀行:金利は低いがスコアリング厳格。属性高め向け。
- 地銀・信金:地場の物件に強い。収益+自宅の同時審査等、柔軟な提案が出ることも。
- フラット系(固定):団信条件や物件要件は要確認だが、年収基準が明確で通りやすいケースも。
6. 再申込の手順(落ちた後の動き方)
- 否決理由のヒアリング:仲介/銀行担当に「人・物・資金」のどこが弱かったかを必ず聞く。
- 信用情報を開示:CIC/JICCで自分の記録を確認。誤登録があれば訂正請求。
- 即効の改善:小口借入の完済、クレカ枠の縮小、頭金の上乗せ(親族贈与は時期と証憑を整備)。
- 物件/金融機関を見直す:評価の出やすい物件に切替、または金融機関のレンジを変更。
- 再申込:前回から1か月〜2か月のクリーン運用後に再挑戦(短期多発を避ける)。
7. よくある誤解と事実
- 「年収が高ければ通る」 → 事実:他社借入や物件評価、団信で落ちる例は多い。
- 「頭金ゼロでOK」 → 事実:諸費用+生活防衛資金の不足は減点。余力が重要。
- 「複数同時申込が有利」 → 事実:短期多発照会はスコア低下の原因。選択と集中を。
8. 対策用チェックリスト
- □ 返済負担率が25%以下(できれば22%以下)になる計画
- □ リボ・カードローン・自動車ローンを完済or圧縮
- □ クレカの枠縮小/不要カード解約を済ませた
- □ 源泉徴収票・課税証明の数値一致を確認した
- □ 勤続・雇用の裏付け書類(在籍証明/内定通知)を用意した
- □ 頭金+諸費用+6か月生活費の預金残高を示せる
- □ 物件の接道・再建築可・面積要件を確認した
- □ 団信の告知事項を事前に整理し、代替(ワイド団信等)も把握
- □ 申込行は1行〜3行に絞り、時期を分けて申請
9. Q&A
Q. 事前審査に落ちると本審査も無理?
A. 金融機関や物件評価の相性で結果は変わります。否決理由を特定→改善→別行で再挑戦は十分可能です。
Q. ボーナス併用返済は通りやすい?
A. 年によって変動が大きい会社はマイナス。基本は毎月返済で成立する計画が安全です。
Q. 自営業で赤字でも借りられる?
A. 厳しいです。2期〜3期の黒字・安定売上、役員報酬の見直し、経費最適化などで所得を可視化してください。
10. まとめ
事前審査は「人・物・資金」の三位一体。年収だけで勝負せず、返済負担率の軽量化、信用情報のクリーン化、物件選定の現実路線の三本柱で臨めば、通過確率は大きく上がります。落ちたら終わりではありません。理由を掴み、1か月〜2か月の改善サイクルで再申請。最終的に「返せる計画」を数字で示すことが、何より強い説得材料になります。
最終更新日:2025年11月8日