「老後資金が不安…」
「新NISAは聞くけど、iDeCo(イデコ)はよく分からない」
そんな人のために、この記事ではiDeCo(個人型確定拠出年金)の基礎知識を、初心者にもわかりやすく解説します。
- iDeCoってそもそも何なのか
- どんなメリットや注意点があるのか
- よく出てくる用語の意味
- 「自分は使うべきなのか?」について考えるポイント
上記4つの項目をできるだけシンプルにまとめました。
1. iDeCo(イデコ)とは?ざっくり一言でいうと…
iDeCo(イデコ)とは
自分で積み立てる“私的年金”で、税金がとても優遇される制度です。
正式名称は「個人型確定拠出年金」。
- 自分で毎月お金を積み立て
- 自分で運用商品(投資信託・定期預金・保険など)を選び
- 60歳以降に年金や一時金として受け取る
という仕組みです。
「年金」と名前はついていますが、国の公的年金(国民年金・厚生年金)とは別枠で、自分でプラスして用意する“上乗せ年金”だとイメージすると分かりやすいです。
2. iDeCoの大きなメリット3つ
iDeCoが「老後資金づくりに有利」と言われる理由は、税金の優遇がとても大きいからです。
2-1. 掛金が「全額」所得控除になる
毎月積み立てている掛金の全額が所得控除の対象になります。
- 年間24万円積み立てた場合
→ その24万円が「なかったもの」として計算されるイメージ - 結果として、所得税・住民税が安くなる
たとえば、所得税・住民税の合計が20%程度の人なら、
- 年間24万円積立
- その20%の約4万8,000円が節税効果として戻ってくるイメージになります。
(※実際の金額は収入や家族構成、住んでいる自治体などで変わります)
2-2. 運用益も「非課税」で増やせる
通常、投資信託や株式などの資産運用で得た利益には、約20%の税金がかかります。
- 100万円の利益 → 約20万円が税金で引かれる
しかしiDeCoの場合なら
- 資産運用で増えた利益も非課税
- 元本+運用益がそのまま将来の受取額になる
長期でコツコツ運用するほど、「税金がかからない」というメリットがじわじわ効いてきます。
2-3. 受け取るときも税制優遇がある
iDeCoは、受け取り時にも優遇があります。
- 一時金として受け取る場合 ⇒ 退職所得控除
- 年金形式で受け取る場合 ⇒ 公的年金等控除
などが使えます。
「払うとき」「増えている間」「受け取るとき」の3段階で税金が優遇されるのが、iDeCo最大の特徴です。
3. 逆にiDeCoのデメリット・注意点
メリットが大きい一方で、注意点もきちんと理解しておく必要があります。
3-1. 原則60歳まで引き出せない
iDeCoの一番大きな注意するべき制約は
原則として60歳になるまでお金を引き出せないという点です。
- 途中で「やっぱりお金が必要になったから解約したい」と思っても
- 基本的には解約・引き出しはできません(例外はかなり限定的)
そのため
- 生活費や教育費など「途中で必要になるかもしれないお金」は
→ iDeCoには入れない - 「60歳まで使う予定のない“老後資金”の一部」を
→ iDeCoに回す
という考え方が重要です。
3-2. 積立額に上限がある(職業によって違う)
iDeCoは、職業・年金の種類によって積み立てられる上限額が決まっています。
たとえばイメージとしては
- 自営業者(国民年金第1号)
- 会社員・公務員(厚生年金加入者)
- 専業主婦・専業主夫(第3号被保険者)
といった区分ごとに、月額の上限が違います。
「自分はいくらまで積み立て可能か?」を知るには、加入申込前に金融機関のiDeCoシミュレーションページなどで確認しておくと安心です。
3-3. 手数料がかかる
iDeCoには、次のような各種手数料がかかります。
- 加入時の手数料(初回のみ)
- 毎月の口座管理手数料(国の機関+金融機関分)
- 商品の信託報酬(投資信託などの保有コスト)
近年は、手数料が安いネット証券も増えていますが
「どの金融機関を選ぶか」「どの商品を選ぶか」で、長期的なコストがかなり変わってくる
そのため、事前にコストなどは比較しておきたいポイントです。
4. iDeCoでよく出てくる用語をわかりやすく解説
4-1. 掛金(かけきん)
iDeCoに毎月積み立てる金額のこと。
- 最低5,000円から
- 1,000円単位で金額を決められる(金融機関によって条件あり)
途中で掛金の金額を変更することもできます(年に1回など制限あり)。
4-2. 確定拠出年金(DC:Defined Contribution)
iDeCoの正式な位置づけは「個人型確定拠出年金」です。
「確定拠出」とは
- 拠出(積み立てる金額)は“確定”している
- でも、将来いくら受け取れるかは運用次第で変わる
という意味です。
対になるのが「確定給付年金(DB)」で
- 将来もらえる年金額があらかじめ決まっているタイプ
ですが、こちらは主に企業年金などで見られる仕組みです。
4-3. 拠出(きょしゅつ)
「お金を出すこと」「積み立てること」を指します。
iDeCoでは
「毎月◯万円拠出している」
という言い方をしますが、やっていることは「毎月◯万円積み立てている」と同じです。
4-4. 運用商品
iDeCoの口座に入れたお金は、そのまま置いておくだけでは増えません。
- 投資信託
- 定期預金
- 保険商品(元本確保型)
などの「運用商品」を自分で選んで配分を決める必要があります。
4-5. 元本確保型・元本変動型
元本確保型
- 定期預金や一部の保険商品など
- 満期まで保有すれば“元本割れしない”ことを前提とした商品
- その代わり、増える金額(利息)は比較的少ない
元本変動型
- 投資信託(株式・債券・バランス型など)
- 市場の値動きによって、資産額が増減する
- 長期で見ればリターンが期待できる一方で、元本割れのリスクもある
iDeCoで老後資金づくりをするかただと、「時間を味方にした元本変動型(投資信託)」を中心に考える人が多いです。
5. iDeCoは「どんな人」に向いている?
5-1. 所得税・住民税を払っている人
iDeCoの大きなメリットは「掛金が所得控除になること」です。
つまり
- 所得税・住民税を支払っている人ほど、節税メリットが大きい!
専業主婦や専業主夫などの、そもそも課税されていない人は、「運用益非課税」のメリットはあるものの、掛金控除の恩恵は少なくなる点は覚えておきましょう。
5-2. 「60歳まで使う予定のない資金」を少しずつ作りたい人
- 住宅購入資金
- 教育資金
- 短期〜中期の目標に使うお金
とごちゃまぜにしてしまうと、iDeCoは使いにくい制度です。
iDeCoに向いているのは
「このお金は、60歳以降の自分のために」と割り切って積み立てられる人です。
5-3. 長期の積立投資を“仕組み化”したい人
iDeCoは
- 毎月の掛金を決めてしまえば、あとは自動で引き落とし
- 運用商品も一度配分を決めれば、自動で買い付け
という、「仕組みを作って放っておくタイプの投資」に向いています。
- コツコツ型
- 途中の値動きに一喜一憂しすぎない人
- 長期視点でお金のことを考えたい人
などには、とても相性の良い制度です!
6. iDeCoを始める前に考えるべきポイント
6-1. 毎月いくらなら無理なく続けられるか?
iDeCoは、長く続けるほど効果を発揮します。
- 月1万円でも
- 月2万円でも
「ストレスなく続けられる金額」がベストです。
「節税効果が大きいから」と無理に掛金を増やすと、途中で家計がキツくなり、せっかくの積立を止めてしまうことにもなりかねません。
6-2. 新NISAとのバランスをどうするか?
最近は、新NISAとiDeCoを「どう組み合わせるか」もよく話題になります。
ざっくりとした考え方としては
- iDeCo
→ 老後用の“ガチガチの長期資金” - 新NISA
→ 老後+中長期の資産づくり(途中で現金化する可能性も視野にいれている場合)
という役割分担です。
- まずは生活防衛資金+新NISAのつみたて
- 余裕が出てきたらiDeCoも検討
という順番で考える人も多いです。
6-3. どの金融機関で始めるか?
iDeCoは、多くの銀行・証券会社・保険会社などで取り扱われていますが
- 口座管理手数料
- 選べる商品ラインナップ(投信の信託報酬、種類)
- サイトやアプリの使いやすさ
などがそれぞれ違います。
長期で付き合う制度なので
「手数料が安く、インデックス型の投資信託が充実しているところ」を選ぶのが、基本の目安です。
7. まとめ:iDeCoは「60歳の自分への仕送り」を作る制度
最後に、この記事の内容を整理します。
- iDeCo(イデコ)は、自分で積み立てる“私的年金”制度
- 掛金が全額所得控除になり、運用益も非課税、受取り時にも税制優遇あり
- その代わり、原則60歳まで引き出せないという大きな制約がある
- 掛金の上限は職業などによって変わり、手数料もかかる
- 元本確保型と元本変動型の商品があり、長期なら投資信託中心が現実的
- 所得税・住民税を払っていて、老後資金を長期でコツコツ作りたい人に向いている
- 新NISAとのバランスや、毎月無理なく続けられる掛金を考えることが大切
iDeCoは、今の自分が
「未来の自分に仕送りをしてあげる」ための仕組みです。
今日からすぐに始める必要はありませんが、自分の働き方・家計の状況、新NISAとのバランスをふまえて
「60歳の自分のために、いくらなら積み立ててあげられるか?」を想像して
税制優遇など強力な資産運用の制度なので、一度じっくり考えてみてください。