FXを始めると、まずぶつかる壁がチャートの見方です。
ローソク足・移動平均線・トレンドライン…。
専門用語が多すぎて、「結局何を見ればいいの?」と感じる人も多いはずです。
でも安心してください。
最初から難しい分析を覚える必要はありません。
FX初心者がまず身につけるべきなのは、
- シンプルなチャートの“読み方”
- チャートから何を感じ取り、どう考えるかという“視点”
この2つだけでOKです。
難しい話は一度横に置いて、初心者が最初に覚えるべきチャートの基本と考え方を、順番にわかりやすく解説します。
1. チャートは「値段の軌跡」を見るための地図
まず大前提として、チャートは「過去から現在まで、価格がどう動いてきたか」を見るための地図です。
- 上に動いていれば「買いが優勢」
- 下に動いていれば「売りが優勢」
- 横ばいなら「様子見・拮抗状態」
これ以上でも以下でもありません。
「チャート=未来を当てる道具」ではない
多くの初心者が勘違いしがちなのが、
チャートを見れば未来の値動きが“当たる”
という幻想です。
実際には、チャートは“確率の高い場所”を探すヒントにすぎません。
- 「今は買いが強い流れだから、押し目で買うと有利そう」
- 「レンジっぽいから、上限と下限でコツコツ取るイメージ」
このように、「今の相場の雰囲気」を掴むためのツールと考えましょう。ただ、この相場の雰囲気をつかむということが長く投資生活をおくろうと思っているならとても重要なのでしっかりと理解していきましょう!
2. 最初は「ローソク足」と「時間足」だけで十分
インジケーターをたくさん出すと、一見プロっぽく見えますが、何を見ればいいのかの判断がうまくできずに迷子になりやすいかたが多いです。
まずはこの2つだけ覚えればOK
- ローソク足(ろうそくあし)
- 時間足(じかんあし)
2-1. ローソク足の超シンプルな見方
ローソク足1本には、次の情報が詰まっています。
- 始値(その時間のスタートの価格)
- 終値(その時間の終わりの価格)
- 高値(その時間の一番高い価格)
- 安値(その時間の一番安い価格)
一般的に、
- 陽線(実体が上方向):その時間帯は「買いが優勢だった」
- 陰線(実体が下方向):その時間帯は「売りが優勢だった」
とざっくりイメージすればOKです。
さらに、
- 長いヒゲ ⇒ その方向に一度は強く動いたが、押し戻された
- 実体が小さい ⇒ 売りと買いが拮抗している
こうした形の特徴を、少しずつ覚えていくことが最初はとても重要なので何度も復習してローソク足の知識を深めていってください。
2-2. 時間足とは?「どのスピードで相場を見るか」の設定
時間足とは、「ローソク足1本が表す時間」のことです。
- 1分足:1本=1分
- 5分足:1本=5分
- 1時間足:1本=1時間
- 日足:1本=1日
初心者のうちは、
- 大きな流れ → 4時間足 or 日足
- エントリーポイント → 1時間足 or 15分足
くらいの組み合わせで見るとわかりやすいです。
いきなり1分足だけを見ると、
ノイズが多すぎて「ただのゲーム」になりがちなので注意しましょう。
短期足にノイズが多いのは一部の大口の資金に左右されるからというのが考えられます。大口の資金によって短期的にロスカット(強制決済)をさせられたというのを多く聞きますので初心者のうちは短期足での売買は基本的にはおすすめできません。
3. 覚えるべきは「トレンド」と「レンジ」の見分け方
チャートの世界はシンプルに分けると、次の2パターンしかありません。
- トレンド相場:上か下に流れが出ている
- レンジ相場:一定の幅で上下に行ったり来たりしている
3-1. 上昇トレンド・下降トレンドの見分け方
- 上昇トレンド
→ 高値と安値が「だんだん切り上がっている」状態
(山も谷も、少しずつ上に移動しているイメージ) - 下降トレンド
→ 高値と安値が「だんだん切り下がっている」状態
(山も谷も、少しずつ下に移動しているイメージ)
最初は、チャートに線を引かなくても構いません。
「最近の山と谷は、上がってきてる? 下がってきてる?」を目で追うだけでも十分です。
3-2. レンジ相場の特徴
- 高値と安値の位置が、ある程度固定されている
- 一定の幅の中で「ボックス」のように価格が動く
レンジ相場では、
- 上限付近 → 売りが出やすい
- 下限付近 → 買いが出やすい
という傾向があります。
まずは「今の相場はトレンド?レンジ?」を判断する習慣をつけましょう。
4. 価格が反応しやすい「水平線」を引いてみよう
チャートの見方で、最もシンプルかつ効果的なのが水平線(サポートライン・レジスタンスライン)です。
4-1. サポートライン(支持線)とは?
- 過去に何度も「そこから反発して上がった」価格帯
- 「これ以上は安すぎる」と意識されやすいゾーン
4-2. レジスタンスライン(抵抗線)とは?
- 過去に何度も「そこから押し戻されて下がった」価格帯
- 「これ以上は高すぎる」と意識されやすいゾーン
チャート上で、
- 「何度も止められている価格」
- 「大きく動き出した起点の価格」
に水平線を引いてみると、
そのライン付近で値動きがゆっくりになったり、反転しやすかったりするのが分かってきます。
完璧にピッタリ止まるというわけではなく、
“ゾーン”としてざっくり意識するのがおすすめです。
5. 移動平均線は「相場の体温計」
次のステップとして、初心者にも扱いやすいのが移動平均線です。
5-1. 移動平均線とは?
一定期間の終値の平均を線でつないだものです。
- 短期:5日・10日など
- 中期:20日・25日など
- 長期:75日・100日など
全部出す必要はありません。
初心者のうちは、例えば「短期」と「中期」の2本だけでも十分です。
5-2. 移動平均線でチェックするポイント
- 価格が移動平均線より上にあるか・下にあるか
→ 上なら「買い優勢」、下なら「売り優勢」とざっくり判断 - 移動平均線が右上がりか・右下がりか
→ 右上がりなら上昇傾向、右下がりなら下降傾向
さらに、
- 価格が移動平均線まで戻ってきたところ
- 移動平均線で反発して、再びトレンド方向に動き出すところ
は、エントリーポイントの候補になります。
6. チャートを見るときの「考え方」の基本
単に形を覚えるだけでなく、
チャートの裏側にいる「人の行動」をイメージすることが大事です。
6-1. 「この価格帯では、誰が何を考えているか?」
たとえば、何度も止められているレジスタンス付近では…
- そこより下で買っていた人 → 「この辺で利益確定したい」
- 過去にそこで売ってうまくいった人 → 「またここで売りたい」
という心理が働きます。
その結果、
- 売りが増えやすい
- 上抜けると「踏み上げ」で一気に上がることもある
といった動きが起きやすくなります。
6-2. 「今は誰が苦しいポジションを持っていそうか?」
- 急騰 ⇒ 上で買った人以外の「売り手」が苦しい
- 急落 ⇒ 下で売った人以外の「買い手」が苦しい
苦しくなった人たちは、
- 損切りをする
- 反対売買をする
ため、さらに価格が動きやすくなります。
チャートを見るときは、
「この動きで、一番苦しくなっているのは誰?」
と考えてみると、相場の勢いが読めるようになってきます。
7. 初心者がやりがちなチャートの「落とし穴」
落とし穴1:インジケーターを増やしすぎる
たくさんの線や指標を出しすぎると、
- どれを信じればいいか分からない
- サインがバラバラで混乱する
という状態になりがちです。
最初は「ローソク足+水平線+移動平均線」くらいに絞るほうが、私は上達が早くなっていました。
落とし穴2:短い時間足だけを見てしまう
1分足や5分足だけを見ていると、小さな上下に翻弄されます。
- 上がったと思ったらすぐ下がる
- 方向感が分からないままエントリーしてしまう
という失敗につながります。
「上位時間足で流れを確認してから、下位時間足でタイミングを見る」
この順番を崩さないことが大切です。
8. まとめ:チャートは「未来を当てる」より「戦いやすい場所を探す」道具
FX初心者が最初に身につけるべきチャートの見方は、決して難しくありません。
- ローソク足で「その時間帯の勝者(買い・売り)」をイメージする
- 時間足を意識して、大きな流れと細かい動きを分けて考える
- トレンドかレンジかを判断する
- サポートライン・レジスタンスラインの水平線を引いてみる
- 移動平均線で「今の傾向」をざっくりつかむ
- チャートの裏にいる人たちの心理を想像してみる
チャートは、未来を完璧に当てるための水晶玉ではありません。
あなたが
「このあたりなら、リスクとリターンが釣り合っていて戦いやすい」
と感じられる場所を探すためのあくまでも参考ツールです。
まずは、今日からでもチャートを開いて、
- 「今はトレンド?レンジ?」
- 「どの価格帯で何度も止められている?」
- 「移動平均線は右上がり?右下がり?」
といったポイントを、少しずつチェックする習慣をつけてみてください。
その積み重ねが、
“なんとなく”見ていたチャートを“武器として使えるチャート”に変えていきます!