「スプレッドが…」「ロスカット水準が…」といった専門用語がわからず、最初の一歩が重くなっていませんか？本記事は“チャートを開く前に”理解しておきたいFXの重要用語を、意味 を一言で要約 → 実際の使いどころを整理しました。読み終えたら、ニュースや各社サイトの説明がスッと入ることを目標にわかりやすくまとめました。
目次
1. お金の単位と最小変動
| 用語 | 一言で | 実務ポイント |
|---|---|---|
| 通貨ペア（USD/JPY など） | 通貨の組み合わせ | USD/JPY=「1ドル＝何円か」。左（基軸）が1単位、右で値付け |
| pips（ピップス） | 価格の最小単位 | 米ドル/円は通常0.01円=1pips、ユーロ/ドルは0.0001=1pips |
| ロット | 売買数量のまとまり | 国内は「1万通貨=1ロット」が一般的。少額口座は1,000通貨対応もある |
| 評価損益 | いま決済したらの損益 | 未確定。指値/逆指値で計画的に損益を確定させる |
2. 注文まわりの基本用語
| 用語 | 一言で | 使いどころ |
|---|---|---|
| 成行（なりゆき）注文 | 今ある価格ですぐ注文を通す | スピード重視。スリッページ（滑り）に注意 |
| 指値（さしね）注文 | 価格指定で有利に約定 | エントリー/利確の基本。未約定リスクあり |
| 逆指値（ストップ）注文 | 損切り用の保険 | 「ここを割れたら撤退」を機械的に実行。同時セットが原則 |
| IFD/OCO/IFDOCO | 予約の連携セット | IFD=新規→決済予約、OCO=利確と損切りの同時、IFDOCO=両方まとめ |
| 買い/売り | 先に買う/先に売る | FXは売りからも入れる（下落でも利益機会となる） |
3. 取引コストと金利
| 用語 | 一言で | 使いどころ |
|---|---|---|
| スプレッド | 買値と売値の差＝実質手数料 | 狭いほど有利。イベント時などに拡大する可能性がある（注意） |
| スワップポイント | 金利差の受け取り/支払い | 金利の高い通貨を買うと受取り、売りだと支払いが多い |
| ロールオーバー | 日付越えの処理 | スワップ発生タイミング。メンテナンス時間に注意 |
| スリッページ | 狙いと約定のズレ | 成行や荒い相場で起こる。許容幅の設定が必要 |
4. レバレッジと証拠金の基礎
レバレッジは「小さな資金で大きな取引ができるテコ」。威力はありますが、損失も倍率で拡大します。
| 用語 | 一言で | 実務ポイント |
|---|---|---|
| 必要証拠金 | ポジションを持つのに必要な資金 | 通貨量÷レバレッジ×レートで概算 |
| 有効証拠金 | 口座資金＋含み損益 | 含み損で目減り。余力を持つことが重要 |
| 証拠金維持率 | 安全バロメータ、ポジションを維持する力（100％以下は注意） | （有効証拠金÷必要証拠金）×100% |
| ロスカット | 強制決済の安全装置 | 証拠金維持率が一定以下で発動。到達前に自分で切るのが鉄則 |
例：USD/JPYを2万通貨、レバレッジ25倍、レート145円で買う場合の必要証拠金は
2万通貨×145円÷25 ≒ 116,000円程度（概算）。
5. チャート・分析系の用語
| 用語 | 一言で | 覚え方/使い方 |
|---|---|---|
| ローソク足 | 一定時間の値動きを形にしたもの | 実体＝始値⇔終値、ヒゲ＝高値/安値 |
| サポート/レジスタンス | 下支え/上値抵抗 | 多くが注目する水平線は機能しやすい |
| トレンド | 上昇・下降の流れ | 高値・安値の更新で判定（上昇=高値/安値とも切上げ） |
| MA（移動平均線） | 平均価格の軌跡 | 傾きと位置関係で大勢を把握 |
| ボリンジャーバンド | ボラティリティの幅 | ±2σ付近は過熱/反発候補の目安 |
| RSI/ストキャス | オシレーター系指標 | 買われ過ぎ/売られ過ぎの補助判断 |
| ブレイク/ダマシ | 節目突破/偽の突破 | 出来高や直前の構造で信頼度を評価 |
6. ファンダメンタルズの用語
| 用語 | 一言で | 見方 |
|---|---|---|
| 金利（政策金利） | 通貨の“利回り” | 高金利通貨は買われやすいが、織り込みや金利が高い理由に注意 |
| FOMC/ECB/日銀 | 各国主要中央銀行の会合 | 声明・記者会見・ドットチャート等に注目 |
| 雇用統計/CPI | 重要経済指標 | 発表直後はスプレッド拡大・乱高下に注意 |
| リスクオン/オフ | 投資家心理の傾き | オン=株高/円安傾向、オフ=株安/円高になりやすい |
7. リスク管理ワード（ここが最重要）
| 用語 | 一言で | 運用ルール |
|---|---|---|
| リスクリワード | 損失：利益の比 | 最低1:1、理想は1:2以上 |
| 許容リスク% | 1回の損失の口座比率 | 初心者は0.25％〜0.5%で固定 |
| ドローダウン（DD） | 資産の下落幅 | 最大ドローダウンを記録し、ロットを見直す指標 |
| 期待値（Expectancy） | 平均損益/取引 | 勝率×平均勝ち−負率×平均負け |
8. 数式テンプレ（ロット計算）
ロット ＝（口座残高 × 許容リスク%） ÷（損切りpips × 1pipsの価値）
例：残高100万円、許容リスク0.5%、損切り25pips、USD/JPY（1pips=100円）→ 1,000,000×0.005 ÷（25×100）= 2万通貨まで持てるので国内であれば2lot。
期待値 ＝ 勝率 × 平均勝ちリターン − 負率 × 平均負けリスク
勝率45%、平均勝ち1.8リターン、平均負け1リスク → 0.45×1.8 − 0.55×1 = +0.31の利益。
9. ありがちな誤解と正しい捉え方
- 「スプレッド最狭＝必ず有利」：イベントなど重要指標発表時の拡大や約定力も含めて“実効コスト”で判断。
- 「高金利通貨を買えば勝てる」：スワップは魅力だが、為替差損で簡単に相殺される。方向性×リスク管理が先。
- 「ロスカットがあるから安心」：発動は大損の後。逆指値で事前撤退を徹底する。
- 「勝率が高いほど良い」：利小損大なら破綻。損小利大＋期待値思考に切替。
10. すぐ実践できる用語活用→行動マップ
- 今日のイベント（FOMC/雇用統計/CPI）の時間を手帳に記入
- 監視は3ペアまで（USD/JPY、EUR/USD、GBP/JPYなど）
- 1回の許容損失＝口座0.25％〜0.5%で固定、逆指値必須
- エントリーは指値、決済はOCOで「利確+損切り」を同時設置
- 週1回、期待値・最大ドローダウンを表にして検証
11. 海外FX用語ミニ辞典（A→Z順）
- ASK/BID：買値/売値。ASKで買ってBIDで売る（差がスプレッド）。
- Carry（キャリー）：金利差狙いの保有スタイル。急変時の下落に弱い。
- Hedge（ヘッジ）：他ポジションのリスクを相殺する取引。
- Liquidity（流動性）：取引の厚み。薄い時間帯はスプレッド拡大やすべりがち。
- Stop Hunting：ストップ注文の密集帯をついた動き。節目では起こりやすい。
- Volatility（ボラティリティ）：価格変動の大きさ。戦略はボラティリティに合わせる。
12. まとめ：用語は“投資で身を守るため”に覚える
用語は暗記ではなく、行動に変換できたかで定着します。まずは「逆指値＝命綱」「許容リスク％＝心拍数を上げないサイズ」「スプレッド＝実効コスト」の3つを最優先に、OCO注文で感情をいれない自動化・日報で期待値を検証。これで「用語がわかる」から一歩進んで「投資の行動を言語化」していくことができます。
最終更新日：2025年11月15日
