— 機能・EA・発注・検証・互換性まで“実務で効く”観点を整理 —
目次
0. 先に結論(サマリー)
- EA資産がMT4中心なら、まずはMT4継続+必要部分だけMT5で拡張が現実的。
- バックテスト精度・板情報・マルチアセット重視ならMT5が優位。高速検証や株式/先物/CFDを一元運用しやすい。
- 海外FXはプラットフォームの出来×ブローカーの約定品質の掛け算。口座選びは実測(ログ)+出金テストまで含めて判断。
1. MT4 vs MT5:主要機能の比較表
| 観点 | MT4 | MT5 | 実務コメント |
|---|---|---|---|
| アーキテクチャ | 単一スレッドに近い | マルチスレッド | MT5は最適化・インディケータが高速 |
| 対応資産 | FX中心 | FX+株式・先物・CFD | 海外業者の金・株価指数運用に好適 |
| 時間足 | 9種(M1〜MN) | 21種 | 細かい検証・スキャの裁量に便利 |
| 板情報(DoM) | 限定的 | フル板/DoM(ブローカー次第) | ECNで有効、約定深度が見える |
| 注文種類 | 成行/指値/逆指値/Trailing | 指値・逆指値のバリエーション増 | OCO/IFDはブローカー側機能に依存 |
| ヘッジ/ネット | ヘッジのみ | ヘッジ/ネット両対応(設定可) | 海外FXはヘッジ許容が多い |
| ストラテジーテスター | シングル、品質は要工夫 | マルチスレッド+ティックベース | MT5は最適化・Walk-forwardが速い |
| 言語 | MQL4 | MQL5 | 互換性なし。移植は要修正 |
| マーケット | 豊富(EA/指標) | 近年は充実 | 有償EAはどちらも多数 |
| 経済カレンダー | なし(外部) | 内蔵 | 指標回避ロジックに使える |
| アラート/通知 | 標準 | 柔軟(プッシュ強化) | モバイルと連携しやすい |
目安:裁量・既存EA中心=MT4/検証・複合資産・板活用=MT5。
2. EA(自動売買)と互換性の現実
- MQL4 ⇄ MQL5の完全互換はなし。インジやEAの移植には関数置換・イベント処理の改修が必要。
- MT5はイベント駆動・オブジェクト指向が強く、ポジション管理や並列最適化に強み。
- 既存で勝てているEAがMT4なら、
- MT4をメイン運用、
- 新規研究・最適化はMT5、
- 移植は費用対効果で個別判断、が妥当。
3. 発注・板・約定の使い勝手
- MT5のDoM(板)はECN/STP口座で真価。深さ・約定レベルが見えるため、ニュース後の流動性把握がしやすい。
- ワンクリック取引は両方対応。MT5は複数気配ウィンドウの配置自由度が高く、指数・コモディティとの同時監視に向く。
- 海外業者の一部はサーバ設定で機能差(最小距離、最大注文数、両建て可否)があるため、デモ→少額本番でチェック必須。
4. テスター・最適化:精度と速度
- MT4:ティック再現は外部データ(TickData Suite等)で工夫が必要。最適化は時間がかかる。
- MT5:リアルティック/1分OHLC/モード選択が可能、クラウド最適化にも対応。パラメータ数が多いEAの検証で圧倒的に速い。
- 実務Tips:最初は1年×主要パラメーター粗探索→勝ち筋で細探索。Walk-forwardで過剰最適化を防ぐ。
5. スマホアプリ・通知・運用安定性
- iOS/Androidともに両対応。MT5はカレンダー通知・プッシュの自由度が高い。
- VPS運用は両者可能。サーバロケーション(LDN/NY/TYO)近接のVPSを選ぶと約定遅延が縮小。
- バックアップ:プロファイル/テンプレ/ログを月次エクスポート。障害時の復旧が早い。
6. 海外FXでの“プラットフォーム選び”フレームワーク
6.1 まず決める3要素
- 戦略タイプ:裁量/EA/スワップ運用/指数・金属などCFD併用。
- 必要機能:DoM、ヘッジ、時間足、テスター性能、通知。
- 口座条件:スプレッド、手数料、最小距離、両建て可否、ロット刻み。
6.2 候補の絞り込み(MT4/MT5)
- 裁量+FXのみ:MT4で十分。EA資産があればなおさら。
- 指数/金・株式も取引:MT5。ひとつのターミナルで一元管理。
- バックテスト重視:MT5が有利。特にマルチスレッド最適化。
6.3 デモ→本番の検証ステップ
- デモ:スプレッド/最小距離/板の深さ、EAの挙動を確認。
- 少額本番:成行・指値・OCO・週跨ぎを全てテスト。
- ログで比較:平均スリッページ、拒否率、遅延(ms)、体感コストを算出。
7. 実務で効くチートシート
A. 口座・サーバ設定で差が出る項目
- 最小ストップ距離(StopLevel)/最大ポジション数
- 両建て可否/ネットモード切替(MT5)
- 約定方式(A/B/ECN)/サーバ所在地
B. 互換・移植の判断
- 「既存EAで黒字」→移植は急がない。MT5で新規研究を増やす。
- 「板・指数・株もやる」→MT5併用。裁量はMT4でもOK。
C. 監視画面レイアウト(例)
- 左:ウォッチリスト(FX/指数/金属)
- 中:先物(または指数)5分足+IV/出来高
- 右上:DoMと注文チケット、右下:口座履歴/エキスパートログ
8. 乗り換え・併用のベストプラクティス
- メイン×サブで併用。EAはMT4、裁量+CFDはMT5など役割分担。
- 年数回、EAの再最適化はMT5で。実運用ロジックは過剰最適化回避のためパラメータを固定しすぎない。
- 出金テストは必ず実施(1万円規模→翌営業日)。プラットフォームが良くてもブローカー品質がNGなら本末転倒。
9. よくある質問(FAQ)
Q1:これから始めるならMT4とMT5どっち?
→ 検証・複合資産を見据えるならMT5。既存EAがあるならMT4+MT5併用が失敗しにくい。
Q2:MT4のEAはMT5で動く?
→ そのままでは不可。コード修正が必要。配布元がMT5版を提供していればそれを使う。
Q3:板(DoM)が見えないのは不具合?
→ ブローカー側の設定・口座タイプに依存。ECN/STP口座やMT5で有効なことが多い。
Q4:スマホ運用だけで大丈夫?
→ 裁量の一部監視は可。ただし検証・OCOの精緻な管理はPC推奨。
10. まとめ:プラットフォームは“戦略の器”
- MT4:軽量・資産(EA/インジ)が豊富。裁量・既存EA運用に強い。
- MT5:板・多資産・テスターが強力。指数や商品、検証重視の運用に最適。
- 海外FXでは、プラットフォームの機能だけでなくブローカーの約定品質・出金実績が同じくらい重要。
まずはデモ→少額→ログ比較の三段階で、あなたの戦略に合う“器×中身”を特定してください。最短で失敗を減らし、継続可能な運用に繋がります。